会いたい人の心の波紋「とある日常の断片」

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「とある日常の断片」

さまざまな形のコミュニケーションを提案し、アパレル、美容、スポーツなど幅広いジャンルで活躍している、ブランディングディレクターの行方ひさこ さん。

学校を卒業してすぐに結婚し、就職活動の経験すらなかったところから、ファッションブランドの立ち上げプロジェクトに参画。離婚を経験するなど紆余曲折ありながらも31歳で独立して10年以上会社を経営されている、同性からみてもカッコいい素敵な女性。

美しいものに触れることと、少しでも気になることはすぐにインプットし続けることを大切にしているという ひさこさんが、心を揺さぶられる「人」に会いに行くシリーズコラム。


愛猫のLinoとNoah

 

ステキな人ほど、挨拶上手だと最近よく思う。

別にかしこまった季節のご挨拶ができる、ということではない。「こんにちは。」の後に「元気そうでよかった!」とか「最近充実してるんじゃない?」なんて添えてくれるだけで、ほろっと心がほどけてしまうことがある。

挨拶上手だなと思う1人に、仲の良い女友達がいる。彼女は、わたしよりもちょっと年下の、よく食べよく飲みよく笑う笑顔のステキな人。別れ際に必ず「バイバイ!」の後に「また、すぐにね!」と言ってくれる。これを言われると、本当に必要とされているような気分になって同性でもキュンとしてしまう。楽しかった時間をさらに良い気分で締めくくってくれ、帰り道までも温かい気持ちにしてくれる。楽しかった時間に後ろ髪を引かれながら、次に会うときはどこで何を食べようか、なんて妄想までしてしまう。

ある日タクシーに乗り、いつも通りに「おはようございます。〇〇までお願いします。」と運転手さんに伝えたところ、思わぬ返事が返ってきた。

「僕、お客さんにきちんとご挨拶されたのはじめてで。いいものですね、嬉しいですね。いやぁ、感動しちゃいました。」と言って、目的地よりもだいぶ前でメーターを切ってくれていた。

長いことタクシーの運転手をしていて、挨拶もろくにされなかったこの人の人生って!と、とても衝撃を受けた。それと同時に、日本人ってどうしてこうも挨拶ができないんだろうって。「こんにちは、デニーズへようこそ。何名様ですか?」に「こんにちは、3人です。」って返す人って何人いるんだろう。お料理を運んでもらって「ありがとう。」ってきちんと目を見て言えてる人って…….見渡す限り少なめだなぁ。

そんなことを考えていたつい先日は、「ありがとうございました!」と言ってタクシーを降りようとした時、運転手さんがパッと振り向いて「ステキな1日をお過ごしください!」と思いもしなかった嬉しいお声がけ。しかも、満面の笑みで。はじめてのことにあまりにもドキッとして「ありがとう!You,too!!!」と言ってしまったんだけど。笑

誰かを気分良くさせるアクションを自分から起こすことは、たかが挨拶だって立派に社会貢献になり得るものだって信じてる。イヤな態度をとる人には、なおさら丁寧な挨拶を心掛けたい、いつもそう思っている。この運転手さんも、きっとどんなに機嫌が悪い人にだってめげずにステキな言葉をかけ続けているに違いない。

このサイト、ILUCAのテーマが「心の波紋」だと聞いたとき、自身の会社に「LAULOA(ラウロア)」とつけた時のことを思い出した。

独立を後押ししてくれたメンターから「それ、どんな意味?」ってその後の会話が広がるような名前にしたらいいんじゃない、と渡されたハワイ語辞典をペラペラとしながら見つけた「LAULOA」という聞きなれない言葉。「横に広く(サーフィンに)最高な波。波紋のように広がる波。」という意味を見た瞬間に、そんな波や波紋を起こせる会社にしたい!と思って、会社名を決めた。その後、空前のハワイ語ブームが到来し、似たような美容院やネイルサロンがどんどんできて、ちょっと焦ったけれど。

環境って天候や地形はもちろん、周りの人も、そう。でも、たった1人でも環境をつくることに参加はできる。小さな波紋をつくること、良い波紋に参加して広げること、それぞれの関わり方がある。次回からは、わたしが心を揺さぶられた人たちのお話しを伺って、シェアしていけたら、と思っています。

Hisako Namekata
Hisako Namekata
コラムニスト
最も価値のある資産となる「ブランド」価値を高めるコンセプトメイクを行うブランディングディレクター。アパレルブランド経営やデザイナーの経験を活かし、スポーツ、フード、ビューティなど幅広い分野で活動中。ニュートラルなマインドで、より多くのファンの獲得を戦略的に考え、ターゲットに届けるコミュニケーションの仕組みをつくっている。