『ポール・スチュアート』は1938年にラルフ・オストロフ氏がニューヨーク・ミッドタウンに開業。以来、英国サヴィル・ロウの伝統をルーツとする「アングロ・アメリカン」スタイルで、米国の高級紳士服を牽引してきました。
今回の期間限定エキシビション「MAN ON THE FENCE by PAUL STUART」は、ポール・スチュアートのモチーフで知られる通称「MAN ON THE FENCE(マン・オン・ザ・フェンス)」を、国内外の8人のクリエーターにより新たな視点で表現してもらうアートイベントです。
東京・渋谷の「マスタードホテル」を会場に、その4階ワンフロア8部屋を貸し切り、1アーティスト1部屋に作品を展示。長期滞在にも適したユニークなホテルのゲストルームを舞台に、五感で楽しめるエキシビションを開催します。
8人のクリエーターが思い思いに表現
ポール・スチュアートの感性を表現するものとして今も受け継がれているイラスト「MAN ON THE FENCE」を表現するのは、イラスト、刺繍、ネオンサイン、写真、音楽、花など様々な手法を用いる8人のクリエーターたち。
Instagramのフォロワー51.5千人を誇る英国在住のイラストレーターMR.SLOWBOYや、日本を代表するファッションイラストレーターの綿谷 寛、DJ・音楽プロデューサーの松浦俊夫、動物などをモチーフとした刺繍作品で注目される高木耕一郎、19歳の女性フォトグラファーヤスダ彩など、年齢も性別も異なる8人のクリエイターが「MAN ON THE FENCE」を題材に自由な発想を展開します。
PAUL STUARTには「art」がある――ブランド名に秘められたアートが、2019年春、東京・渋谷で花開きます。
■参加アーティスト
MR.SLOWBOY(イラストレーター)
綿谷 寛(イラストレーター)
高木耕一郎(アーティスト)
神山隆二(アーティスト)
山本祐一(ネオンアーティスト)
ヤスダ彩(フォトグラファー)
松浦俊夫(DJ)
小沼美季(フラワーアーティスト)
MAN ON THE FENCE by PAUL STUART
「ポール・スチュアート×8人のアーティスト」展
会期:2019年3月23日(土)―24日(日)
※22日(金)18:00〜21:00 レセプションパーティー
※23(土)―24日(日)11:00〜19:00 展示(一般公開)
場所:マスタードホテル 渋谷
東京都渋谷区東1丁目29-3 SHIBUYA BRIDGE B棟
https://mustardhotel.com/shibuya/
#401
綿谷 寛(イラストレーター)
Profile
1957年東京生まれ。ニックネームは「画伯」。小学3年生のときに10歳上の兄の雑誌『メンズクラブ』を盗す見してお洒落とファッションに目覚める。その後、セツモードを経て、1979年に雑誌『ポパイ』でイラストデビュー。
50年代アメリカのイラスト黄金期を彷彿させる正統的ファッションイラストと、コミカルなタッチを自在に使い分ける、日本を代表するメンズファッションイラストレーター。
『メンズクラブ』(ハースト婦人画報社)や『メンズEX』『Begin』(いずれも世界文化社)などで長年にわたり連載を続け、特にBeginでのルポは、そのコミカルなタッチで人気を博している。ウェルドレッサーぶりとユーモアのある人柄は業界内外で愛されている。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
ポール・スチュアートのモチーフ「MAN ON THE FENCE」は、私が最も敬愛するイラストレーター、J.C.ライエンデッカーが創作したものである。このアメリカンイラストレーション黄金期のスーパースターが生んだキャラクターを現代に置き換え、新たに創作する……。誰よりもライエンデッカーに思い入れがあり、多大な影響を受けたボクとしては、かなり肩に力が入るお仕事だ……。
とはいえ、クラシックでありながらも常に進化するポール・スチュアート。ボクも写実という古典的な手法ながらも、古臭いファッション画にならぬよう心がけたつもりだが。果たしてポール・スチュアートのスピリットを表現できただろうか……。
#402
山本 祐一(Glass Tube Bender)
Profile
1972年、大阪生まれ。15歳のときにアメリカンネオンアートの第一人者Michael Flechtnerに出会い、ネオンアートの魅力に惹きつけられる。以来ネオンサインの製作に従事する一方、2011年よりネオンのオリジナルデザインプロジェクト『oncan』を立ち上げ、ネオンの魅力を発信し続けている。2015年にはアーティストの豊田弘治氏とのコラボ展『THE NEON WORDS』に作品を展示。2017年東京、2018年に大阪にて個展を開催した。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
フェンスに座ったその男の人が今どんなことを思いながらそこにいるのか、何を見て何を感じてどういう状況なのか、まったくの想像ではあるけれど、その辺りに思いを馳せて今回の作品を作ろうと思いました。
#403
高木耕一郎(Artist)
Profile
東京生まれ。常に現代社会が抱える「違和感」をテーマとしており、刺繍やペインティングなど幅広い作風による動物を中心としたモチーフの作品を展開する。国内外の展示への参加やファッションブランドとのコラボレーションで幅広く精力的に活動している。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
作品メインのイメージは、男性が座るフェンスの向こう側にいそうな馬にしました。その他にポール・スチュアートにまつわる有名人や年号の刺繍、またNYCを代表するブランドなので、NYCにまつわる動物なども刺繍しました。
ポール・スチュアートはスタイルがはっきりしたクラシックな雰囲気があるので、メインの作品であるジャケットはあえてそれをぶっ壊すようなクラストコア、アナーコパンクのような鋲ジャン風に仕上げました。
#404
ヤスダ 彩(Photographer)
Profile
1999年生まれの19歳。名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科在学。ポリシーは被写体の尊厳を守り消費されない写真を撮ること、夢は自分の写真が雑誌『装苑』に載ることです。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
私は「MAN ON THE FENCE」をこのエキシビションで初めて知りました。特に印象的だったのは特徴のあるポーズと手元の本です。ここにインスピレーションを受け、現代版に置き換えて各々のスマートフォンを持ってもらうことで再現しました。
#405
神山 隆二(Artist)
Profile
1972年、東京生まれ。90年代初頭、グラフィック業界から衣服の世界へ。ブランド『FAMOUZ』として裏原宿での活動を10年間行う。活動後、路上から公共に至る場所にてライブペイントを中心に、東京での2003年初個展を皮切りに、SF、LA、北欧などで展覧会を開催。近年は、国内での展示を中心に国内外での壁画やショールーム、ウィンドウを描き続けている。また、石川顕、JERRY鵜飼と共に“ULTRA HEAVY”としての活動も行っている。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
イラストを見て感じたことは、時代、ブランドを象徴した着こなしと大人の男性像。僕には決して出せない哀愁感、あと目線の先も気になりますね。描き手の僕なら目線の先、読んでいる本をどう設定したのかな? 着こなしもね。
#406
松浦俊夫(DJ/Producer)
Profile
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。5作のフルアルバムを世界32ヵ国で発表し高い評価を得る。ソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。 イベントのプロデュースやファッションブランドなどの音楽監修を手がける。昨年初めての自己名義作品をワールドワイド・リリース。
InterFM897 / Radio Neo “TOKYO MOON”(毎週日曜17:00)
Gilles Peterson’s Worldwide FM “WW TOKYO” (第1&3月曜20:00) 好評オンエア中。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
ポール・スチュアートのムック本に掲載されていたニューヨークの夜景にインスピレーションを得て、「人種のるつぼ=多様性の街」をコンセプトに音楽で表現できればと思っています。
#407
小沼美季(Flower Artist)
Profile
京都出身。2009年渡米。ニューヨークのレストラン、ホテル、パーティーのプランツスタイリングやガーデニング、ファッションシュートのセットデザインを手がける。2017年日本へ帰国。東京をベースに活動中。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
エンパイアステートビルディングの建設に携わった男たちが建物を作り上げていく様子と、ニューヨークのアップステートにあるStorm King Art Centerを思い出しました。
#408
Mr. Slowboy(Fashion Illustrator)
Profile
ロンドン在住のファッションイラストレーター。優柔不断で、どこか憂いのある雰囲気を漂わせる現在38歳のFei Wangは、自身を「slow boy」と名付け、活動中。
「MAN ON THE FENCE」からどんなインスピレーションを受けたか
今回、「MAN ON THE FENCE」を再解釈する、という貴重な機会をいただき、大変光栄に思っています。「MAN ON THE FENCE」は、ファッション関係の作品も数多く手がけた伝説的なアメリカ人イラストレーター、J.C.ライエンデッカーが生んだ、最も有名なファッションアイコンの一つですから。
このイラストを見たとき、私は、この1920年代を生きる若者と対話をしたい気分に駆られました。そして、現代のモダンなジェントルマン像を見せてあげたい、と思ったのです。そんなわけで私は、ファッション業界で活躍をしている友人が開催するホームパーティーでのお決まりの光景を今回描くことにしました。