日本初の大回顧展! 聖母の微笑みにルネサンスの春を感じよう 日伊国交樹立150周年記念『ボッティチェリ展』

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日本初の大回顧展! 聖母の微笑みにルネサンスの春を感じよう 日伊国交樹立150周年記念『ボッティチェリ展』

2016年は、日本とイタリアが国交を樹立してから150年の節目の年。

現在、江戸東京博物館で開催中の『レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦-』や、3月1日に国立西洋美術館で
開催される『カラヴァッジョ展』など、日伊国交樹立150周年事業の一環として、イタリアの巨匠たちの作品が、
今年ここ日本へとやって来ます。

 

今回、取材した『ボッティチェリ展』もそのうちのひとつ!

ボッティチェリが制作した初来日の《聖母子(書物の聖母)》を交え、世界各地から集められた
貴重な20点以上が集う大回顧展。
フィレンツェにルネサンスの春を連れてきた珠玉の絵画が、この記念すべき年の始まりを華やかに彩ります。

 

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皆さんも美術の教科書などで目にしたことがある《春(プリマヴェーラ)》や《ヴィーナスの誕生》で知られる
サンドロ・ボッティチェリ。

実はこの名前、大食いで、大酒飲みで、太っていた彼の兄が「ボッティチェロ(小さな樽)」と呼ばれたことから、
つけられたあだ名だということはご存知でしたか?

本名はアレッサンドロ・ディ・マリアーノ・フィリペーピ。レオナルドやラファエロと並びルネサンスを代表する
画家でありながら、彼らとは一線を画した装飾的で象徴的な様式が魅力です。

 

 ボッティチェリとフィレンツェ・ルネサンス、その黄金時代

ボッティチェリはその人生のほとんどを、ルネサンスはじまりの地・フィレンツェで過ごしました。

15世紀フィレンツェ。この地を実質支配していたメディチ家の庇護のもと、ボッティチェリをはじめとする
多くの芸術家たちが、その才能を花咲かせた時代。

全4章から成る今回の展示会の第一章では、ボッティチェリの生きたフィレンツェ、その黄金時代を象徴する
メディチ家の芸術品コレクションの数々が紹介されています。

 

03ボッティチェリ_ラーマ家の東方三博士の礼拝
Gabinetto Fotografico del Polo Museale Regionale della Toscana
Su concessione del MiBACT. Divieto di ulteriori riproduzioni o duplicazioni con qualsiasi mezzo
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
サンドロ・ボッティチェリ《ラーマ家の東方三博士の礼拝》

 

今回の展覧会一番目の作品《ラーマ家の東方三博士の礼拝》。

聖母マリアを中心として左右に描かれたメディチ家の面々や当時の知識人などが書き込まれています。
それらを結ぶことによって生み出される三角形。

シンメトリーで均衡の整った構図に「ザ・ルネサンス!」を感じます。

 

 師、フィリッポ・リッピ

15歳で工房へ弟子入りしたボッティチェリ。
第二章ではその工房の師フィリッポ・リッピの作品を紹介、ボッティチェリの原点へと迫ります。

 

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Collezione Banca Popolare di Vicenza
ヴィチェンツァ市民銀行
フィリッポ・リッピ《聖母子》

 

聖母子像はボッティチェリが生涯描いた重要な題材です。

このフィリッポによる精緻で可憐なこの聖母子像から、ボッティチェリは何を学び、何を思ったのでしょうか。

2人の聖母子像を見比べるときは、是非幼児キリストに注目してみてください。

フィリッポの幼児キリストにはどこか大人びて厳格な雰囲気を感じる一方、ボッティチェリの幼児キリストには
子供らしい無邪気さを感じられるのではないでしょうか。

師弟である2人の絵を一度に見られるこの絶好のチャンスをお見逃しなく!

 

Ⅲ 芸術家として、人として

ついにボッティチェリ自身の作品を紹介する第三章!

メディチの庇護を受け成長したボッティチェリですが、その画業の後半はメディチ家をフィレンツェから追放した
修道士サヴォナローラに傾倒しました。

それに伴う画風の変化にも注目です。

 

01ボッティチェリ_聖母子(書物の聖母)
© Milano, Museo Poldi Pezzoli, Foto Malcangi
ミラノ、ボルディ・ベッツォーリ美術館
サンドロ・ボッティチェリ《聖母子(書物の聖母)》

 

今回の目玉である《書物の聖母》。
美しい深い青と煌めく金色に目を奪われますが、その秘密は贅沢に使われた※ラピスラズリと金箔!

物憂げな聖母マリアと対象的に、無邪気な様子の幼児キリスト。

その手には杭と茨の冠が握られています。

※ラピスラズリ…古代より崇められてきた方ソーダ石グループの鉱物を主成分とする美しい瑠璃色の石。

 

59-Croce dipinta
Fototeca Ufficio Beni Culturali Diocesi di Prato
プラート大聖堂付属美術館(サン・ドメニコ壁画美術館に寄託)

 

サンドロ・ボッティチェリ《磔刑のキリスト》

実は先程の杭と茨の冠は、このようなキリスト自身の受難の姿を暗示していたのです。

微笑ましい聖母子を見てからこの絵を見ると、凄惨でありながら厳かな雰囲気に思わず息を飲んでしまいました。

ボッティチェリは作中のひとつひとつの物に様々な意味を込めていると言われています。

この絵に描かれている物は一体どんな意味が込められているのか。

想像を膨らませてみるのも『ボッティチェリ展』の醍醐味です!

 

Ⅳ 受け継がれる「美」

最後の章ではフィリッポの息子であり、ボッティチェリの工房の弟子であり、独立した後には良きライバルとなった
フィリッピーノ・リッピの作品を紹介しています。

フィリッポからボッティチェリへ、ボッティチェリからフィリッピーノへ。

受け継がれる美、そしてそれぞれの独自性を比較してみるのも面白いではないでしょうか。

 

10フィリッピーノ・リッピ_幼児キリストを礼拝する聖母
Gabinetto Fotografico del Polo Museale Regionale della Toscana
Su concessione del MiBACT. Divieto di ulteriori riproduzioni o duplicazioni con qualsiasi mezzo
フィレンツェ、ウフィツィ美術館
フィリッピーノ・リッピ《幼児キリストを礼拝する聖母》

 

描き込まれた背景は父にも師にも見られなかったフィリッピーノ自身の特徴。

しかし聖母の優美に垂れる金髪やその慈愛の表情には、ボッティチェリの影響を確かに感じることが出来ます。

 

これまでボッティチェリが手がけた作品はきわめて繊細であるため、まとまった数の来日は叶いませんでした。
日本とイタリアの強い絆あってこそ実現した本展は、独自の絵画世界を作り上げるボッティチェリ作品の特徴と
魅力を紹介するとともに、師のフィリッポ・リッピや弟子のフィリッピーノ・リッピの作品をあわせて展示して
います。

15世紀フィレンツェにおける絵画表現を辿る旅は始まったばかり!

これから日伊国交樹立150周年記念の展覧会やイベントが予定されていますが、まずこの『ボッティチェリ展』で
お祝い気分を盛り上げるのはいかがでしょうか。

 

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文 / 滝浦 碧

 

 

【情報】

ボッティチェリ展

会期 : 2016年1月16日(土)~4月3日(日)

休室日 : 毎週月曜日、3月22日(火)(ただし3月21日・28日は開館)

開室時間 : 9:30~17:30 (金曜日は20:00まで開室)

会場 : 東京都美術館