(表紙)ティーセレモニー「INNER GARDEN」展示風景
展覧会『トム・サックス ティーセレモニー』が4月20日から東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。
トム・サックスはニューヨークを拠点に活動する現代アーティスト、「プラダ(PRADA)」のロゴでつくられた便器や「エルメス(HERMÈS)」の包装紙によるマクドナルドのバリューセットなどの作品で知られているほか、「ナイキ(NIKE)」とのコラボシューズを制作した経験を持つ。

日本の伝統的な茶の湯の世界とそれを取り巻く様々な儀礼や形式を独自の解釈で再構築した作品を制作するため、2012年から本格的に茶道を学んでいるという。それは仮想の宇宙旅行をテーマとした展覧会「Space Program:MARS」で「長らく退屈な宇宙旅行の間、なにをするのが身体と心によいか? エクササイズとティーセレモニー(茶道、茶会)だ」と考え、茶道具を自作したのがきっかけだそう。
『トム・サックス ティーセレモニー』は2016年にニューヨーク・ノグチ美術館での展覧会のために企画され、その後、サンフランシスコ、テキサスを巡回してきた展覧会だ。そしてついに、初めて日本へやってきた。独自の目線で日本の文化をリスペクトするサックスから見た日本の姿を紹介し、日本人が見落としてきた価値観や世界観に改めて気付くことができる展示になっている。
展示は、「THEATER」「CORRIDOR」「INNER GARDEN」「OUTER GARDEN」「HISTORICAL TEA ROOM」の5つのセクションがあり、庭や合板などで作られた茶室をはじめ、ボーイング747機の設備をより機能的にしたトイレユニット、鯉が泳ぐ池、様々な門によって構成される体感型の空間。
映像作品『ティーセレモニー』を同展のために制作されたジオデシック・ドーム状のシアターで上映される。上映時間が合うならこの作品から体験してもらいたい。





どの作品もサックスの作風である「レディーメイド」で異素材の組み合わせから、カタチに既視感があれど、見つめると『クスッ』と笑ってしまうユーモアに溢れている。工業的な物、量産物が増え続けた社会に茶の湯をテーマにした手アカや温もりが感じられる作品の数々に安堵感を覚えた。
また同展との連動企画として、4月19日から5月6日までビームス 原宿にポップアップストアを出店。4月20日から5月25日まで小山登美夫ギャラリーで「Smutshow」を、4月20日から5月14日まで駒込のKOMAGOME 1-14 casで「Indoctrination Center」を開催され、合わせて制作されたトム・サックスオリジナルのスタンプ台紙でスタンプラリーを楽しむことが出来る。(台紙は限定7000部・東京オペラシティーのみで配布)
是非、サックスが魅せる『日本の伝統的な表現』に触れてみてほしい。
撮影・文・構成:柿内奈緒美
トム・サックス ティーセレモニー
会期 | 2019年4月20日〜6月23日 |
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会場 | 東京オペラシティ アートギャラリー |
住所 | 東京都新宿区西新宿3-20-2 |
開館日時 | 11:00〜19:00 (金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで 休館日:月(ただし祝日の場合は翌日) |
料金 | 一般 1400円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料 |
公式サイト | http://www.operacity.jp/ag/exh220/ |